米国防総省に属するDefense Innovation Unit (DIU)は、軍全体で新興商業技術の早期採用を促進する組織である。従来の約18カ月以上という国防総省の契約プロセスに対し、DIUはプロトタイプの契約まで60-90日を目標とする。AI技術はDIUが採用に注力する5分野(AI・自律性・サイバー・ヒューマンシステム・宇宙)のひとつである。
DIUのニュースリリースによると、GoogleのAIを搭載した拡張現実(AR)顕微鏡がDIUのパイロットプログラムとして採用されたことを発表している。AR顕微鏡で組織サンプルを見ると、がんの可能性が高い精査すべき領域がリアルタイムで画面上に注釈として表示される。(参照:Googleが公開しているAR顕微鏡のYouTube動画)アルゴリズムは国防総省の医療システム全体が抱える膨大な病理画像データベースで訓練され、精度の向上が図られる。
Googleは同プログラムに対して、TensorFlowとGoogle Cloud Healthcare APIの技術提供を行い、国防総省の保有する世界最大級の医療画像データが取り込まれ、患者個人情報の匿名化が行われる。国防総省がプロジェクトを加速させることで、AR顕微鏡が実際の臨床で活用される光景が現実になりつつある。