英国国民保険サービス(NHS)では、COVID-19のパンデミックを経て、医療のサプライチェーンとロジスティックの課題を浮き彫りにされた。その解決策のひとつとして、英国宇宙局(UK Spase Agency)は、NHSのサポートから生まれたヘルスケア・ドローンのスタートアップを支援している。
英国公共部門情報サイト GOV.UKが報じたところによると、NHSの臨床起業家プログラムに採択されているApianは、英国宇宙局の協力を受け、衛星を利用したGPSでドローンが安全に航行できる空中回廊のネットワーク確立を目指している。同社のサービスによってヘルスケア・ドローンが、COVID-19の検体、検査キット、個人防護装備(PPE)を運送できるようにする。パンデミック後の収益性を考慮し、医療機器・医薬品・輸血製剤などの配送で、NHSに対して強化された物流システムを提供し続ける計画があるという。
英国宇宙局はヘルスケア・ドローンの他、COVID-19関連で医療機関へ送迎を希望する人々に、手頃な交通機関アクセス情報を提供するモバイルアプリ「DriverNet」による支援も行っている。AIによるユーザの位置情報処理で、NHS職員と患者は送迎サービスの利用について、テキストメッセージやアプリ上の通知を受けることができる。NHSでは患者が受診予約を逃すことが年間1500万件にのぼるといい、その来院率を改善し、コスト削減効果を期待する。パンデミックを機として英国宇宙局はNHSを強力に支援し、その計画は流行終息後をも見据えている。