イタリアの研究チームは、ルーチン検査の範疇である一般血液検査項目からCOVID-19の陽性者を識別する機械学習モデルを構築し、その性能評価を含めて研究成果を取りまとめた。
ヘルスサイエンス領域のプレプリントサーバーであるmedRxivに公表されたチームの研究論文によると、2020年2月から5月にかけてサンラファエル病院に入院した1,624人の患者データベースからアルゴリズムを構築したという。同患者群からは52%にCOVID-19陽性が確認されており、全血球計算や生化学を含む一般血液検査項目から、陽性者を識別するアルゴリズムを導いた。他病院の約100例の患者に対して妥当性検証試験を行ったところ、AUC0.75-0.78と比較的良好な識別精度を有することが確認された。
現在COVID-19の検出においてはPCR検査がゴールドスタンダードとして取り扱われるが、長いターンアラウンドタイムや試薬の潜在的な不足、看過できない偽陰性率などが問題となってきた。研究チームは、当該手法を「迅速かつ費用対効果の高い方法」としており、PCR検査の補助的検査としての有用性を強調する。また発展途上国など、リソースの不足する地域においては代替検査となる可能性にも言及し、今後の研究継続を明らかにする。
なお、Bitscopic社による先行類似研究も過去に紹介しているので参照いただきたい。