米疾病予防管理センターは、米国内での白人と黒人との間に指摘される平均余命の差の理由の1つとして、心血管疾患を推定している。ロサンゼルスを拠点とする研究グループは、黒人が住民の割合の多くを占めるエリアで、地域の理髪店にビデオ遠隔システムによる血圧測定器を設置し、その健康格差を埋めることを期待するプロジェクトを展開している。
POLITICOが報じたところによると、このプロジェクトは、地域社会においては理髪店が住民との信頼関係を築いていることに注目し、そこで高血圧治療薬の服薬状況と血圧を追跡することを考えた。疫学的調査においては、いわゆる「自分たちの縄張り」という意識が、対象者の協力姿勢にも影響を及ぼす。ロサンゼルスの理髪店での調査が費用対効果の優れたものとなることが確認されたため、プロジェクトは現在、ナッシュビルの美容院に環境を移している。
健康面での人種格差に対処するテクノロジーの利用には、地域社会の要因が課題となってきた。テック系スタートアップとメディケイドを結びつける非営利団体Health Tech 4 MedicaidのAdimika Arthur氏は「コミュニティへの投資は、短期的な収益ではなく、より包括的で長期的なものと考えることでコミュニティの活性化につながる」と語っている。