オーストラリアは皮膚がん(特にメラノーマ)の圧倒的な好発地域として知られている。同国のノース・クイーンズランドでは、自動車事故死者をメラノーマによる死者が上回るという統計があるほどの社会問題となっている。
オーストラリア公共放送局 ABCの報道によると、ノース・クイーンズランドなど複数の都市で「皮膚がん早期発見を目的としたAIソフトウェアの臨床試験」が行われる。利用される皮膚がん検出AIのひとつはドイツ製の機器で、ノース・クイーンズランドのクリニックでは0.2mmという世界最小レベルのメラノーマを発見した実績をもつという。(※編集部注:報道で具体的な製品名は出ていないが、写真内で独FotoFinder社のmedicamが使用されている)
臨床試験にはオーストラリアがん研究財団から1000万ドルの助成金があてられ、15の都市、そのうち5ヶ所はクイーンズランド州に機器が設置される。臨床試験によって、来年から15,000人のオーストラリア人がAI技術に無料でアクセスできることになる。同研究財団のCEOであるKerry Strydom氏は、AIの皮膚がん検出力とスピードに感銘を受け「技術は特に農村部で有用であり、ミリメートル単位のスキャンデータはネットワークを介して皮膚科医の多くが在籍する都市部に送信される。メラノーマは早期発見するほどに患者にとって良い結果が得られることは既に証明されているため、成果への期待は多大だ」と述べた。