老化研究から健康寿命延伸に取り組むAIスタートアップ「Deep Longevity」については、AIによる心理的老化マーカー研究に関してを以前に紹介した(過去記事)。同社から学術誌 Nature Agingに直近で寄稿されたコメンタリー論文では、最新のAI研究が長寿医療分野にどうつながっているか概説されている。
学術誌 Nature Agingには、Deep Longevityの創設者であるAlex Zhavoronkov氏らが「Artificial intelligence in longevity medicine」と題したコメンタリーを寄せている。そこでは、単一の疾患や臓器を対象とした従来の医療アプローチではこれからの時代の健康寿命延伸に小さな影響しか与えられない前提から、加齢や老化というすべての生物に共通する普遍的特徴に対してAI・ディープラーニングを応用することで、画期的な進歩が起きる可能性について論じている。
著者らは、AIをベースとした実験的な長寿医療を、今こそ一般臨床現場へ転換・加速させる時と主張し、そのための学会・規制当局・ベンチャー各社らを包括した基本的枠組みや、学際的な共同作業の必要性についても述べている。「公衆衛生を公衆の健康長寿へと転換させる」という結語が印象的であり、Deep Longevityの今後の展開にもますます注目していきたい。