Nature論文 – 脳内手書きを高速にテキスト変換するBCI技術

米スタンフォード大学の研究者らは、brain-computer interface(BCI)とAIの技術適用により、「脳内で想像した手書き意図を神経信号から読み取ることで、高速にテキスト変換する技術」を開発したことを明らかにした。脊髄損傷に伴う麻痺患者など、コミュニケーションの制限を受ける患者らに巨大な恩恵をもたらす画期的技術と言える。

このほどNatureから公表されたチームの研究論文によると、書字動作を企図した際の運動皮質における神経活動を解析することで、高速なテキストタイプを実現するAIシステムを開発したという。脊髄損傷により四肢に麻痺のある患者において、毎分90字を94.1%の精度でタイプすることができ、汎用のオートコレクトを用いることでその精度は99%を超える。これは一般的なスマートフォンでの入力速度(115字/分)に匹敵しており、脊髄損傷や脳血管疾患後のコミュニケーション機能を支える基礎技術となる可能性がある。

著者らは「コンピュータカーソルの移動・到達・把持といった、粗大なポイントツーポイントの動きよりも、書字動作という複雑な動きの方がデコードしやすい可能性」にも言及しており、近傍のBCI技術開発における重要な示唆を与えている。なお、スタンフォード大学の技術ライセンス局は本技術を卓越した知的財産として捉えており、既に特許の申請を行っている。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。