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脳波でロボットアームを操作 – 四肢麻痺患者を救うAI技術

米カーネギーメロン大学とミネソタ大学の研究チームは、体表から測定した脳波を利用し、ロボットアームを自分の意思通りに動かすシステムを開発した。腕を動かす際に現れる脳波変化をAIに学習させ、どのような運動意図があるかを解釈することに成功しており、脳梗塞後など深刻な四肢麻痺を持つ患者への応用が期待される。

学術誌Science Roboticsに掲載された研究チームの論文によると、同技術はBrain-Computer Interface(BCI: 脳とコンピュータを繋ぐ装置)のひとつと解釈され、革新性はその「非侵襲性」にあるという。つまり、脳波測定はヘルメットのようなデバイスを被るだけで行うことができ、電極などのセンサー類を埋め込む外科的な処置を一切必要としない。オンラインでのロボットアーム操作でも高い精度を示しており、医療にとどまらない応用範囲の広さが示唆される。

脳血管疾患をはじめとして、後に深刻な運動障害を残す疾患は少なくない。日常生活動作の多くが制限を受けるため、リハビリによる十分な機能回復が見込めない場合は元来の生活環境に戻ることも難しくなる。AIによるBCI関連技術の向上は、今後の医療における大きなキーワードのひとつとなるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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