「osteopathy(オステオパシー)」という単語は日本でも耳にする機会が増え、整骨・整体に近い意味と文脈で捉えられているであろう。オステオパシーでは、骨格など運動器、血管・リンパなど循環器、あるいは脳神経系などの医学知識を基礎として、手技による身体の治療を行う。日本では国の認定する医療資格ではないことから理解されにくい医療哲学ではあるが、発祥の地である米国では、医学の一分野としてオステオパシー医科大学による教育が行われ、D.O.(Doctor of Osteopathic Medicine)という専門博士号が普及している。
Kansas Health Science Centerのニュースリリースによると、現在カンザス州ウィチタに建設中のカンザス大学オステオパシー医科大学では、AIなど先端技術を取り入れた教育カリキュラムを展開することを目指し、2022年度の開校に向けた準備がすすめられている。キャンパス内にはオステオパシー技術のトレーニングセンター、バーチャル解剖学ラボなどが設置される予定となっている。AIやデータサイエンスを活用した、現代的なD.O.を育成するミッションを、同大学では掲げている。
D.O.にとって先端的で世界的なトレーニング拠点となるメディカルスクールが設立されることで、オステオパシー医学の国際的な位置付けは今後も変化していくかもしれない。日本で「法的な資格制度のない医業類似行為」として位置付けられるオステオパシーがどのように展開されていくか、米国からの影響を興味深く観察したい。
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