実年齢とは異なる、個人差のある老化や基礎疾患を反映した「生理的年齢」を測るAI解析手法が近年のトレンドとなっている(過去記事1)。以前にも紹介した米国の睡眠AIスタートアップ EnsoData社(過去記事2)を中心に行われた「睡眠時の脳波から脳の年齢を予測するAI研究」を紹介する。
同研究は6月10日から13日まで開催された学会「SLEEP 2021」で発表された(抄録参照)。研究では、ポリソムノグラフィ検査で取得された睡眠時の脳波をディープニューラルネットワーク(DNN)で解析し、「健康な患者では実年齢との誤差を4.6歳で予測」、また「てんかん・脳卒中・睡眠時無呼吸・睡眠障害といった各種の基礎疾患によって、脳年齢の指数(BAI: Brain Age Index)が有意に実年齢と乖離する」ことが示された。
これまでにも脳波から患者の年齢をおおまかに推定して定量化する臨床研究例がみられたが、AIにより患者の脳年齢を推定する今回の研究成果は目新しい。研究グループは、脳年齢指数BAIが脳の健康状態を示すバイタルサインとなり、様々な疾患の診断バイオマーカーとなりうるとして、睡眠時の脳波から得られる指標の価値を強調している。