Amazon Care – 忍び寄る遠隔医療業界の「Xデー」

Amazon独自の遠隔医療サービス「Amazon Care」について、当メディアでも既に報じている(過去記事:Amazon Careの激震)。Amazonは今夏までに全米50州でのサービス展開を行う計画だが、既に多数の企業から関心が寄せられているという。

Amazonが3月に公表したアプリベースのケアサービスは、遠隔医療業界に多大なる波紋を広げた。ITの巨人による正面突破の領域参入は、既存の小中規模プレイヤーを駆逐する可能性が高く、業界の構図を大々的に書き換えると見られている。Amazonでヴァイスプレジデントを務めるBabak Parviz氏(Google時代にはGoogle Glassプロジェクトを率いた人物)は、The Wall Street Journalが主催したテックヘルスイベント内で「既に多数の企業から問い合わせを受けており、間もなく各社従業員がサインアップして利用できるようになる」と話している。

Amazonはアプリをエントリポイントと捉えた上で、現実の医療サービスとのハイブリッドを実現しようとする。在宅検査サービスの立ち上げに向けた交渉も始めている、とInsiderが報じており、医療相談・受診・検査・治療・経過フォローを含む全ての医療フェーズに関与する包括システムを狙う姿勢も垣間見える。忍び寄る遠隔医療業界のXデーは、今まさに目と鼻の先にある。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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