医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例眼に触れずに光音響画像を得る新研究

眼に触れずに光音響画像を得る新研究

レーザー光による画像検査技術「光音響イメージング」の発展について以前に紹介した(過去記事)。従来ではセンサーを組織表面に押し当てて光音響の画像情報を得ていたものを、非接触のリモートセンサーで画像構成できる「PARS: photoacoustic remote sensing(光音響リモートセンシング)」と呼ばれる新システムの実用化が近年進んでいる。

カナダ・ウォータールー大学のニュースリリースによると、同大学のグループは、PARSの非接触という利点を活かし、機器を接触させることなく眼球組織を画像化することで、酸素飽和度や酸素代謝といった機能的情報が得られるという研究成果をScientific Reports誌に発表した。同システムによって、加齢黄斑変性症・糖尿病性網膜症・緑内障といった失明原因となる疾患についての早期診断、特に症状が出現するよりも早い段階での検出実現が期待されている。

非接触検査は患者の不快感軽減のみならず、感染リスクの低減にも貢献できるため、近年普及が進む注目の領域となっている。研究グループでは「PARS技術は眼科画像検査における現在のゴールドスタンダードを超える可能性を秘めている」と考え、2年以内の臨床試験開始を検討している。同システムは、乳がん・消化器がん・皮膚がんなどの組織への適用や、脳腫瘍の切除時に外科医をガイドするリアルタイムイメージングへの応用も既に始められており、そちらの続報も待たれる。

関連記事:

  1. 光音響イメージングのブレイクスルーはAIから?
  2. レビュー論文 – 緑内障の診断・進行予測へのAI活用
  3. 米国眼科学会2019より – 糖尿病性網膜症のリアルタイムスクリーニングAI
  4. 網膜のAI解析でCOVID-19高リスクの基礎疾患スクリーニング – 印ムンバイ市

TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事