医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例宇宙進出するイスラエル医療AIスタートアップ「Healthy.io」

宇宙進出するイスラエル医療AIスタートアップ「Healthy.io」

イーロン=マスク氏創立のスペースXが宇宙飛行サービス事業の新時代を切り拓き、宇宙のミッションはより一般的、より長期的となることが予想される。数ヶ月から数年にわたり宇宙に滞在する飛行士の健康を監視するため、尿検査は普遍的な価値をもつ。イスラエルのAIスタートアップHealthy.io社は、2022年予定の民間人宇宙飛行士4名によるISS(国際宇宙ステーション)滞在ミッション「Ax-1」へ、同社の家庭用腎機能検査アプリキット「Minuteful Kidney」の特別版を提供する。

Healthy.ioのニュースリリースでは、同社の「Minuteful Kidney」がAx-1の宇宙飛行士のひとりでイスラエル人のEytan Stibbe氏のISS滞在に携行される計画を報じている。従来、宇宙空間で採取された尿検体は凍結して地上で検査するのが一般的であったが、Healthy.ioの技術によって宇宙空間でリアルタイムの腎機能測定がより現実的となる。同社のデバイスキットでは、尿を浸した試験紙をスマートフォンカメラで撮影し、AIによる色調分析によって、腎機能検査項目のひとつ「尿アルブミン/クレアチニン比(ACR)」を得ることができる。

無重力や放射線など、宇宙環境が腎臓に与える影響は今後さらなる解明を必要としている。Healthy.ioが提供する強力なテクノロジーとシンプルな使用法が、尿検査ひとつでさえも制約のある宇宙環境で価値を発揮できるか、ミッションでの成果が期待される。同社は2020年に世界の有望AIスタートアップTop100に選出されており(過去記事)、宇宙進出の話題をきっかけとしてますます注目を集めていくだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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