愛猫の痛みを教えてくれるAIアプリ「Tably」

猫が痛みや不快感を感じているか、他の愛玩動物と比較しても猫の行動から潜在的な痛みの兆候を分析するのは難しいとされる。客観的な痛みの評価が困難であることは、どんなに熱心な飼い主であっても適切な受診や治療の遅れを招きかねない。カナダのスタートアップ Sylvester.AI社は、AI手法で猫が痛みを感じているかを識別するアプリ「Tably」を開発している。

同アプリでは、愛猫の写真を撮ることでそのボディランゲージ指標から痛みを感じているかを識別する。アルゴリズムの中心となるのは、モントリオール大学附属教育動物病院で開発された「Feline Grimace Scale」という指標で、その研究成果は scientific reports誌に報告されている。このスケールでは、5つのマーカー(①耳の位置、②目の開き具合、③鼻先からあごを含む口元を示す通称「マズル」の緊張、④ヒゲの位置、⑤頭の位置)が0-2点でスコアリングされ、猫が潜在的に感じている痛みを評価する。スケール解析のため、Tablyでは猫の画像から機械学習によって構築されたアルゴリズムが使用されているという。

現在Sylvester.AIの公式サイトから、技術に興味を持ったユーザー向けにベータ版が提供されている。これまで飼い主にとって時間がかかったり複雑過ぎた愛猫の痛みの評価に、AI駆動の新たな信頼できるソリューションが確立されるか。全世界の愛猫家と猫たちを強力にサポートするアプリとなるかもしれない。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。