医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療系AIスタートアップ・ベンチャー企業の動向韓国Speclipse社 - レーザー分光とAIによる皮膚がん診断デバイス

韓国Speclipse社 – レーザー分光とAIによる皮膚がん診断デバイス

疑わしい皮膚病変がみられた際、スコープによる観察を経て組織の生検が検討される。医師の主観に依存しやすい生検実施の判断を助けるため、韓国のSpeclipse社は、レーザー誘起プラズマ分光法(LIPS: Laser-Induced Plasma Spectroscopy)にAI解析を組み合わせた「皮膚がん診断のためのポータブルデバイス」を開発している。

19日付プレスリリースでは、Speclipse社が770万ドルの追加資金を調達し、累計の調達額が1300万ドルとなったことを発表している。同社の皮膚がん診断装置「Spectra-Scope」はレーザー分光技術からリアルタイムで非侵襲的ながん診断が可能で、感度95%・特異度87%を謳い、患者の利便性向上と不要な生検を減らすことに貢献する。

米国では皮膚生検だけでも「年間1兆円超規模の市場」との試算もある。Spectra-Scopeは2020年に欧州諸国、オーストラリア、ブラジルで海外医療機器認証を取得し、20カ国以上に販売網を構築してきた。Speclipseの解析技術は皮膚がんの他、血液バイオマーカーへとその対象領域を拡大し、リキッドバイオプシー分野のパラダイムを変革することも期待されている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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