慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息など慢性呼吸器疾患を抱える患者は、症状悪化によって救急搬送・入院といった重大イベントに至る。特にCOPDについては、退院後30日以内の再入院率が22.6%という報告もある。状態の安定を確認したり、受診の必要性を早期に判断するため、各種の遠隔モニタリングツールが開発されている。
カナダ・アルバータ大学のニュースリリースでは、「ウェアラブルデバイスとAIで慢性呼吸器疾患の症状をモニタリングする」同大学の臨床試験を紹介している。研究では米Health Care Originals社が開発した「ADAMM-RSM」という小型デバイスが採用された。ADAMM-RSMは手のひらサイズ未満で、胸や背中に貼りつけることができる。ここから、呼吸数・心拍数・体温・咳・喘鳴・身体活動レベルについて1日8時間以上に渡るデータ収集を行い、慢性呼吸器疾患患者が救急外来に搬送されるような症状悪化に至る前に、異常を検出することを狙いの一つとする。
アルバータ大学のパイロットプロジェクトは当初40人の患者を対象とし、より多くの参加者での試験へと順次拡大していく。その先では、入院や救急搬送といった重大イベントを予測するAIアルゴリズムの構築にも取り組む予定という。同大学の位置するエドモントンには医療機器の研究開発に適した、臨床・技術・AIの専門家が集まっているとされ、活発な起業環境から革新が生まれることが期待されている。学術誌 JMIR mHealth and uHealthには、ADAMM-RSMを含む各種モニタリングツールを比較したレビューが発表されているので参照のこと。
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