肺がんを早期に発見するためにCTスキャンの撮影機会が増える一方、実際に画像をチェックする読影医・放射線科医のリソースには限りがある。その解決策として、多種多様な形でAIによる肺がん検出の試みが発表されてきた。
欧州呼吸器学会(ERS)の国際会議では、フランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)のグループから「深層学習システムによって肺がん診断の1年前に肺結節を検出する研究」が発表されている(抄録番号OA4317)。同研究では、3年間の肺がんスクリーニング試験に参加した1,179名のCT画像からアルゴリズムを構築した。その結果、最終的に肺がんの病理診断に至った177名のうち、実に172名(97%)の悪性腫瘍が画像のみから検出可能であった。また、がん診断の1年前のスキャン画像においては、後にがんが検出される病変部位を152 件で特定することができた。
研究グループは、現状のプログラムでは「がんではない部位を陽性であるとして特定」する“偽陽性”が多く、不要な生検につながらないよう、臨床応用に向けた大幅な改善が必要と考察する。同グループのBenoît Audelan氏は「研究の目的は放射線科医に取って代わることではなく、放射線科医を支援すること」と語り、どの患者をさらに精査すべきか特定できる新システムの開発を計画している。
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