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スマートEHR – 医師の思考プロセスに基づく情報抽出を実現

AIおよびヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)の専門家が共同し、臨床医が診療にあたって「最も必要とする情報のみ」を表示することのできるEHR(電子健康記録)が設計された。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)のニュースリリースでは、同大学とベス・イスラエル・ディーコネス医療センターが開発したこのシステムについて、従来型EHRとの対比で詳細を説明している。EHRは一般的に、過去情報を異なるページに保存し、処方歴や検査記録をアルファベット順または時系列で記載するため、臨床医は必要な情報を見つけるためにデータの検索を余儀なくされる。一方、このスマートEHRでは、医師の情報検索・思考パターンに近付け、診療に直接資する情報抽出の自動化を実現するというもの。具体的には、医師は現在の症状を評価する際、内服薬による影響を考え、現在の処方薬を意識的(あるいは無意識的)にレビューするが、同システムではこのような症状を引き起こし得る内服薬を自動的に抽出表示するなどができる。

研究の中心となっているMITの大学院生Luke Murray氏は「医師の思考プロセスに基づく情報抽出を自動化することで、病因の特定と治療計画の立案など、複雑で重要なプロセスに時間を割くことができるようにしたい」と述べる。なお、本研究成果は、来月オンライン開催されるAssociation for Computing Machinery’s Symposium on User Interface Software and Technologyにて公表される。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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