別々の生物が交配することなく遺伝情報を交換する「遺伝子の水平伝播」は、細菌の細胞間でしばしば観察される。水平方向への遺伝子導入は細胞間で直接行われることもあれば、共有された環境下で間接的に行われることもある。いずれにせよ、累積的な突然変異と同様、これは抗生物質に対する耐性を広める主要な要因となっている。
Science Advances誌のオンライン版にこのほど掲載された、米コーネル大学の研究論文によると、この種の遺伝子伝播が「機械学習によって予測できる可能性」が示されている。研究を率いたIlana Brito氏らは「どのような細胞の特性や機能が遺伝子の水平移動に寄与しているか」を解明するため、様々な細菌のゲノムを精査し、いくつかの機械学習アルゴリズムを適用した。最も優れたモデルでは、AUC 0.983という高精度での伝播予測を達成した。
著者らは「遺伝子の水平移動を成功させるため、ネットワークの構造と代謝機能が重要な役割を果たしていることを明らかにした」と述べる。この新しいアプローチは、特定環境下における伝播の可能性と好発エリアの特定、またターゲットとなる弱体化遺伝子の同定などを実現する可能性を内包しており、領域に大きなインパクトを与える成果のひとつと言える。
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