Nym Health – 医療コーディングの自動化プラットフォーム

医療における「コーディング」とは、診療録に記載されている病名を国際疾病分類(ICD)に従ってコード化することを指す。これは正確な患者状況の把握や、あらゆる疾病を国際比較するために必要な分類であること、また適切な医療費請求の拠り所となることなどから、医療において欠かすことのできないプロセスとなる。これまで、「診療録の翻訳家」として知られるICDコーディングスペシャリストを中心とし、人手によって行われてきたコーディング作業をAIによって自動化しようとする取り組みがある。

Nym Healthは、この医療コーディング自動化プラットフォームで先導的な立場を取るスタートアップで、計算言語学とクリニカル・インテリジェンスを組み合わせた同社の革新的アプローチは、米国内医療機関におけるコスト削減に多大な貢献を示してきた。現在Nym社のプラットフォームでは、コードの識別精度96%以上を誇り、90を超える救命救急施設に導入され、年間300万枚を超えるチャートを処理している。

Nym社のソリューションでは、診療録に自由記載された文章を解析し、人手を介すことなく数秒でICD-10-CMとCPTの償還コードに変換することができる。同社がこのほど明らかにしたところによると、ある医療機関において「1日の患者退院量の半分以上」を数分以内でコーディングすることにも成功したという。また、正確なコーディングによって、1チャートあたり平均20ドル以上の償還機会の損失を回避させたとする.

Nym社でシニアバイスプレジデントを務めるMelisa Tucker氏は「我々の臨床言語理解プラットフォームが、救急医療の現場における収益サイクル管理のための信頼できる効果的なソリューションであることは、既に証明されている」と話し、プロダクトの質に大きな自信を示している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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