イスラエルの一大研究拠点となっているテルアビブ大学の研究チームはこのほど、血液感染の結果、深刻な状況に陥るリスクの高い患者を識別するAIアルゴリズムを構築した。研究成果はScientific Reports誌に掲載されている。なお、本成果は同大学の技術移転先企業であるRamot社により、グローバルでの特許申請が進められている。
チームの研究論文によると、このAIアルゴリズムは、テルアビブに所在するイチロフ病院において「血液感染が陽性であった8,000名」の電子カルテデータによってトレーニングされた。患者基本属性の他、血液検査結果、病歴、診断名などの各種臨床変数に基づき、アルゴリズムは82%の精度で重症化を予測し、特に重要となる危険因子を特定して警告することができる。通常血液系は無菌状態にあるが、手術や他感染症の合併症として血液感染を引き起こすことがある。血液感染は血液培養によって明らかにされるが、リスク過小評価による治療導入の遅れは深刻な転帰を迎え得るため、システムによるリアルタイムモニタリングと危険因子の早期コントロール実現には期待が大きい。
著者らはまた、「AIアルゴリズムは”既知でない”血液検査パターンに重症化リスクを見出した」としており、研究過程で導かれた新たなパラメータがリスク評価指標としての価値を示す可能性にも言及している。
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