血液感染の重症化を識別するAI技術

イスラエルの一大研究拠点となっているテルアビブ大学の研究チームはこのほど、血液感染の結果、深刻な状況に陥るリスクの高い患者を識別するAIアルゴリズムを構築した。研究成果はScientific Reports誌に掲載されている。なお、本成果は同大学の技術移転先企業であるRamot社により、グローバルでの特許申請が進められている。

チームの研究論文によると、このAIアルゴリズムは、テルアビブに所在するイチロフ病院において「血液感染が陽性であった8,000名」の電子カルテデータによってトレーニングされた。患者基本属性の他、血液検査結果、病歴、診断名などの各種臨床変数に基づき、アルゴリズムは82%の精度で重症化を予測し、特に重要となる危険因子を特定して警告することができる。通常血液系は無菌状態にあるが、手術や他感染症の合併症として血液感染を引き起こすことがある。血液感染は血液培養によって明らかにされるが、リスク過小評価による治療導入の遅れは深刻な転帰を迎え得るため、システムによるリアルタイムモニタリングと危険因子の早期コントロール実現には期待が大きい。

著者らはまた、「AIアルゴリズムは”既知でない”血液検査パターンに重症化リスクを見出した」としており、研究過程で導かれた新たなパラメータがリスク評価指標としての価値を示す可能性にも言及している。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、現在は米マサチューセッツ総合病院研究員、ハーバードメディカルスクール・インストラクター。他に、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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