ケンブリッジ大学と華中科技大学を中心とする国際研究チームは、連合学習を用いたモデル構築によって、患者データのプライバシーを保護しながら、放射線科医と同等の画像診断精度を提供できるAIモデルを開発した。研究成果はNature Machine Intelligence誌からこのほど公開された。
チームの研究論文によると、英国および中国の23に及ぶ医療機関群、3,300名の患者を対象として9,000枚以上の胸部CT画像からこのAIモデルを構築したという。連合学習(federated learning)では実際にデータを共有することなく、他地域・他国のデータセットを独立して訓練・検証することができる。医学領域では極めて秘匿性の高い個人情報を取り扱うため、特に連合学習の価値が高く見積もられており、近年先端研究に多数取り込まれている。
より優れた一般化AIモデルを導出するためには、異なるエリアの異なる施設から適切な数のデータセットを収集する必要がある。バイアスを軽減しつつ、共同作業環境において各データセンターのプライバシーを保護する取り組みは、今後の医療AI研究の一般的な形となる可能性がある。研究者らは現在、新しく設立された「WHO Hub for Pandemic and Epidemic Intelligence」と協力し、プライバシーを保護するデジタルヘルスケアのフレームワーク発展を狙っている。
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