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「NVIDIA FLARE」オープンソース化 – フェデレーテッドラーニングの推進へ

NVIDIA社が積極推進する「Federated Learning(分散協働学習)」は、匿名性を維持しながら、分散した複数機関からのAI学習データの共有と単一モデルのトレーニングを行う手法として、本メディアでも複数回に渡って紹介してきた(過去記事)。

NVIDIAの29日付リリースでは、同社のフェデレーテッドラーニング用ソフトウェア開発キット「NVIDIA FLARE(Federated Learning Application Runtime Environment)」のオープンソース化を紹介している。NVIDIA FLAREは分散協働学習の基盤エンジンで、医療画像・遺伝子解析・がん・COVID-19研究などに関連したAIアプリケーションに使用されている。オープンソース化により、研究者・開発者らはツールの選択肢が増え、先端AI開発がさらに推進されることが期待される。また、オープンソース医用画像処理フレームワークMONAIなど、既存のAIプラットフォームとの統合も継続される。

ハーバード・メディカル・スクールの放射線科准教授Jayashree Kalapathy氏は「NVIDIA FLAREのオープンソース化は、患者プライバシーへの配慮からデータ共有が制限されてきたヘルスケア分野において重要な役割を果たすだろう。医用画像研究のフロンティアが押し広げられていくことに興奮を覚える」と語る。リリースに合わせNVIDIAは、11月28日から12月2日まで開催の北米放射線学会(RSNA 2021)で、同社のヘルスケアへの取り組みについて特別講演を行っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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