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前立腺がん病理診断AIの国際コンペ「PANDA」 – Nature Medicine誌より

前立腺がん診断において、同じ組織サンプルでも病理診断の結論が異なる場合があり、診断の再現性に課題を抱えている。AIシステムの支援によって質を担保した上での一貫した評価を実現すれば、より正確な治療法選択につながる可能性がある。スウェーデンのカロリンスカ研究所(過去記事)のグループは、前立腺がんを正確に評価するAIシステム開発の国際コンペ「PANDA」を主催し、1,000人以上のAI研究者が開発に挑戦した。

PANDAによる国際コンペの検証成果はNature Medicine誌に掲載され、「AIシステムが病理医と同等に、様々な国の組織サンプルで、前立腺がん診断と悪性度分類できること」が示された。この結果は従来の課題である「異なる病院、国/地域でAIを適用した場合に、信頼できる強固な結果が得られない可能性」に対して、国際的な環境下で横断的に機能するAIシステムの性能を示した画期的な成果となる。

カロリンスカ研究所のインタビューにおいて、著者のひとりで同研究所の疫学・生物統計学部門の研究員であるKimmo Kartasalo氏は「PANDA開催でコンペティションの重要性が分かり、AIによるイノベーションによって問題解決を加速できることが示された」と語る。共著者の腫瘍病理学教授で前立腺病理学を専門とするLars Egevad氏は「AIがヒトの専門家に取って代わるのではなく、病理医ががんを見逃さないためのセーフティネットとして機能し、評価の標準化を支援することを考えている。AIは病理医が不足する地域における有効な選択肢ともなり得るだろう」と語った。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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