近年、愛犬との関わりは変化し、従来のペットとしての愛玩動物から、生活を共にする家族としての伴侶動物(コンパニオンドッグ)といった役割が大きくなっている。こういったなか、北米の大学群を中心とし、「犬の老化」に焦点を当てた大規模データ収集プログラムが進行している。
2018年、米テキサス大学やワシントン大学、その他数十に及ぶパートナー機関の研究者が協力し、この大規模データ収集プログラム「Dog Aging Project」がスタートした。現在、32,000頭以上の犬が登録され、収集された多面的データはオープンデータセットとして世界中の科学者に公開されている。このほどNatureから公開された研究論文には、犬の募集と種々のコホートへの割り当て、データ収集の手段、チーム管理まで、本プロジェクトの詳細と、倫理的、法的、社会的な意味合いや、期待される科学的知見についても言及している。
ワシントン大学が明らかにしたところによると、本プロジェクトは「犬の老化に影響を与える遺伝的、環境的、生活習慣的要因」を特定し、その根本的な分子メカニズムを解明することで、犬の健康寿命を延ばすための潜在的方法を検証するという。また、犬の老化を検証することは獣医学領域だけでなく、ヒトの老化と健康を理解することにも資するため、今後の得られるであろう研究知見への関心は非常に大きい。
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