COVID-19後に心血管疾患リスクが増加

COVID-19の合併症は種々明らかにされているが、「急性期を過ぎた後の心血管症状」についての仔細は明らかにされていない。米ワシントン大学医学部および退役軍人協会セントルイス医療システムの研究者らは、大規模データセットに基づく調査結果を明らかにした。成果はNature Medicine誌からこのほど公開されている。

7日公開されたチームの研究論文によると、研究チームは、米国退役軍人データベースを用い、COVID-19患者153,760名のコホートと2セットの対照コホートを構築し、感染後1年間での心血管疾患発症リスクを推定した。結果、COVID-19発症者は感染後30日以降、脳血管障害や不整脈、虚血性心疾患、心膜炎、心筋炎、心不全、血栓塞栓症など、いくつかのカテゴリーにわたる心血管疾患の発症リスクが有意に増加することを示した。

著者らは、これらの結果が「感染症の急性期に入院していない人」でも明らかであること、さらに、急性期の治療状況(非入院、入院、集中治療室への入院)に応じて段階的にリスクが増加することに言及している。これらを踏まえ、COVID-19の急性期エピソードを生き延びた人々のケアにおいて、心血管疾患リスクに対する注意を払う必要があることが強調されている。

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