連合学習によるCOVID-19関連研究

ケンブリッジ大学と華中科技大学を中心とする国際研究チームは、連合学習を用いたモデル構築によって、患者データのプライバシーを保護しながら、放射線科医と同等の画像診断精度を提供できるAIモデルを開発した。研究成果はNature Machine Intelligence誌からこのほど公開された。

チームの研究論文によると、英国および中国の23に及ぶ医療機関群、3,300名の患者を対象として9,000枚以上の胸部CT画像からこのAIモデルを構築したという。連合学習(federated learning)では実際にデータを共有することなく、他地域・他国のデータセットを独立して訓練・検証することができる。医学領域では極めて秘匿性の高い個人情報を取り扱うため、特に連合学習の価値が高く見積もられており、近年先端研究に多数取り込まれている。

より優れた一般化AIモデルを導出するためには、異なるエリアの異なる施設から適切な数のデータセットを収集する必要がある。バイアスを軽減しつつ、共同作業環境において各データセンターのプライバシーを保護する取り組みは、今後の医療AI研究の一般的な形となる可能性がある。研究者らは現在、新しく設立された「WHO Hub for Pandemic and Epidemic Intelligence」と協力し、プライバシーを保護するデジタルヘルスケアのフレームワーク発展を狙っている。

関連記事:

  1. 「NVIDIA FLARE」オープンソース化 – フェデレーテッドラーニングの推進へ
  2. COVID-19の転機を予測するフェデレーテッドラーニング研究
  3. サノフィ – がん領域のAI開発に1億8000万ドルを投資
  4. COVID-19の感染力増大を予測するAIツール

TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、現在は米マサチューセッツ総合病院研究員、ハーバードメディカルスクール・インストラクター。他に、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事