ARアプリでクモ恐怖症を解消

クモ恐怖症は、特定の動物に対する恐怖症(phobia)として日常生活に不便をともなう。治療を目的として恐怖の対象に曝露することが有効となるが、治療法それ自体への強い抵抗感から実際の治療に行き着く例は少ない。スマートフォン用の拡張現実(AR)アプリで、クモ恐怖症を解消する研究がスイス・バーゼル大学のグループから発表されている。

バーゼル大学のリリースでは、恐怖症改善ARアプリ「Phobys」が紹介されている。学術誌 Journal of Anxiety Disordersに発表された研究成果によると、現実世界に投影される3Dクモモデルによる30分程度のトレーニングを2週間に6回受けることで、治療後に本物のクモへの恐怖心が有意に低下し許容範囲に近づくという結果が得られた。研究グループのひとりAnja Zimmer氏は「クモ恐怖症の人にとって、本物のクモよりも仮想のクモの方が向き合いやすい」と、同等の治療効果が得られる仮想クモの利点を説明する。

アプリはバーゼル大学からのスピンオフ企業GeneGuide AGの事業部「MindGuide」により改良を重ねられている。アプリは軽度のクモ恐怖症であれば自己の判断で利用可能で、深刻な恐怖症の場合は専門家の指導のもとでの使用が推奨されている。ARクモに恐怖を感じるか無料で試すことができ、恐怖心軽減のトレーニングプログラムはアプリ内で有料購入となっている。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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