心臓の冠動脈狭窄を検出する「心臓CTA(Computer Tomography Angiogram)」は、低侵襲かつ高精度な検査法として利用の幅を広げている。しかし検査法の普及とともに、読影医不足や、経験の浅い読影者による狭窄度の過大評価といった課題が浮き彫りになっている。米ニューヨーク拠点で心臓CTA解析AIを開発する「Cleerly社(過去記事参照)」は従来検査法に対するAI利用手法の性能を比較検証し、最新の研究成果として発表している。
Journal of the American College of Cardiologyに掲載された同研究では、「CREDENCE試験(動脈硬化性疾患のCT評価に関する臨床試験)」における患者303名のデータに対し、Cleerly社のAIソフトウェアの性能評価を行っている。その結果、同社のAIによる冠動脈評価は、従来のスタンダードな検査である心臓エコー、カテーテルによる冠動脈造影、より侵襲的な冠血流予備量比(FFR: fractional flow reserve)検査、それらいずれの検査能力と「同等以上」であることが示された。
検査の有効性に加え、画像解析時間について本研究では1件あたり約10.3分と報告されている。研究グループは、従来手法に比べた検査結果の納期(ターンアラウンドタイム)の短さもAI活用技術の利点と考察している。Cleerly社は、従来のアプローチで見逃されていた患者の評価に重点を置き、患者が症状を示す前に冠動脈疾患を早期発見するパラダイムを作ることを目標に掲げている。
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