前立腺がんの画像診断にMRI検査が中心的役割を果たすなかで、「PI-RADS(Prostate Imaging–Reporting and Data System)」という標準撮像法およびスコアリングシステムの利用が一般的になった。しかし、PI-RADSは臨床的な有用性の一方で、がん病変の特徴記述やスコアリングに関して時間を要する手作業があり、観察者間でのばらつきも大きいといった課題がある。イスラエルから米国へと事業を拡大する医療AI企業「RSIP Vision(過去記事参照)」は、MRI検査画像から前立腺がん病変を抽出し、PI-RADSスコア算出に必要な情報を提供する新しいAIツールを発表した。
RSIP Visionの発表によると、同社のPI-RADSアシスタントはディープラーニングアルゴリズムによって、前立腺の軟部組織を正確に区別し、がん病変の径、体積、信号強度、扁円の平滑さを自動検出する。ツールは過去と現在のスキャン結果を比較して差分を強調表示し、PI-RADSスコアに必要な情報を読影医に提供する。
PI-RADSは2014年以降にversion 2が報告され、現在もアップデートが繰り返され、そのスコアは泌尿器科医の臨床判断を支える指標として確立されている。高齢化に伴う前立腺がん罹患者増を背景とし、前立腺MRI検査の利用は拡大し続け、現場の負担は増している。新しいAIツールによって、作業負担の軽減、検査時間の短縮、スコアリングの精度向上を図ることは、その先のより良い臨床成績につながることが期待できる。
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