米メイヨークリニックの研究チームは、Apple Watchの心電図機能を利用し、「心臓のポンプ機能低下」を検出する新しい機械学習アルゴリズムを構築した。通常は循環器の専門検査である心エコー検査で検出される同病態について、より簡便で日常的なリスク評価を実現しようとするもの。
12の心電図信号を活用する一般的な12誘導心電図と比べても、Apple Watchはシングルリード故に圧倒的に利用しやすい検査リソースと言える。メイヨークリニックの公表によると、同クリニックでリードAIサイエンティストを務めるItzhak Zachi Attia氏は、全米46州と11カ国の研究協力者を対象とした大規模試験を主導し、12.5万件を超える心電図波形を収集している。これに基づき、左室駆出率の低下を検出する機械学習モデルをトレーニングした。初期の研究成果としてはAUC 0.88を達成しており、この「心機能低下における検出能」は、日常臨床で利用されるトレッドミル検査と同等か、やや優れたパフォーマンスであるという。
Apple Watchを利用した新しいアルゴリズムは、より信頼性の高い遠隔患者モニタリング手法の開発に資するとみられ、チームではさらなる検証のため、多様な集団を取り込んだグローバルな前向き検証試験の実施を計画している。
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