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若者の活動量を増加させる「デジタルヘルスプログラム」

Fitbitとテキストベースのヘルスコーチングによるデジタルヘルスプログラムが、10代の若者の身体活動量を向上させたとする研究成果が公表された。米テキサス工科大学などの研究者らによる本研究論文は、JMIR Pediatrics and Parentingからこのほど公開されている。

研究論文によると、13歳から18歳までの肥満傾向にある28名を対象とし、12週間のプログラム期間中、1時間の活動または10,000歩を日々の目標として介入した。ウェアラブルデバイスによる活動量モニタリングに加え、テキストベースのコーチングを継続して行なっている。また、プログラムには「週ごとの個人目標」の設定があり、目標達成では現金によるインセンティブを受け取ることができる。結果、研究参加者は平均して7週間は活動目標を達成しており、またFitbitの日毎装着率は90%を超えていた。著者らは「デジタルヘルスプログラムによる介入で、活動時間に有意な改善がみられたこと」を強調している。

近年、ウェアラブルデバイスを用いた健康プログラムは多数提唱され、一定の成功をみているが、社会経済的地位の低い群で有効性が乏しい可能性が示されるなど、対象者とそれに応じたプログラム設計の重要性が指摘されている。本研究はサンプルサイズが小さく、一般化可能性の議論に制限はあるが、若年者に対する有効なモニタリング手法の一案として、また金銭的インセンティブの生むモチベーション向上効果について示唆的な論文とも言える。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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