救急診療部における画像解析AI利用は、1. 診療スピードの加速、2. 同時処理可能な患者数増加、3. 診断品質の均質化、などの観点から、特に導入効果の高いものとして注目を受ける。米イェール大学の研究チームはこのほど、救急画像診断へのAI導入に関する可能性・効果・課題についてをまとめたレビュー論文を公開した。
Clinical Imagingから公表されたチームのレビュー論文によると、米食品医薬品局(FDA)が承認済みであるAIシステムには、救急診療部が実臨床で即時に使用可能で、かつ導入効果が十分に見込まれるものが含まれていることを指摘する。救急の現場における読影作業は、限られた時間の中で手作業中心のものであったため、救急医・放射線科医・診療放射線技師に対する負荷が過大であり、時として品質の担保が困難となるケースもあった。救急領域における「AIアプリケーションの主要なターゲット」は現在、急性期の脳卒中であるとしており、実際、これら疾患へのAI活用は、数分の遅れが著明な予後の増悪につながり得る状況を効果的にサポートし、ケアチームの対応能力を増強することを強調する。
現時点で「画像解析AIへの直接的な保険償還は依然として稀であること」が課題の1つとして挙げられるが、周辺領域には償還可能なアプリケーション例がみられるようになり、画像解析AIの取り扱いが大きく変わる状況も遠くないことを指摘する。AIの導入効果がコストに見合うものなのか、医療機関の意思決定者は慎重に評価する姿勢をみせるなか、風向きは少しずつ変わろうとしている。
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