臨床実装の進む「医療画像の常時監視システム」

米ペンシルベニア州で大規模に医療を展開するWellSpan Healthはこのほど、同グループ内のWellSpan York Hospitalにおいて、Aidocの放射線科医支援AIソリューションを導入したことを公表した。ペンシルベニア州中南部の医療システムとしては、Aidocのソリューションを臨床実装する初の組織となった。

WellSpan Healthが明らかにしたところによると、2月下旬から稼働を開始したこのAIソリューションは、医療画像を常時監視して異常フラグを立てるだけでなく、放射線科医がレビューする際の「緊急性に応じた優先順位」を示すことができるというもの。同院の放射線科部門は全員が認定資格を有し、適切なフェローシップトレーニングを経ている者で構成されているが、Aidocのソリューションによる支援で、業務プロセスのさらなる迅速化と患者アウトカムの向上が期待されている。

AidocのCEOであるElad Walach氏は「WellSpan York Hospitalは、我々のAIを統合する州内最初の医療機関となる。真のイノベーターであり、またパイオニアとしてWellSpanが患者ケアの新しい基準を確立し、施設間の接続性を高め、迅速な対応を達成することで、結果として患者に恩恵をもたらすことを期待している」と述べた。新技術導入の背景には、冬場に増加したCOVID-19入院患者の滞留解消があるとみられ、混乱を脱し、日常診療のあるべき姿に戻すきっかけとしても、AIの果たす役割に注目が集まる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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