甲状腺結節は一般的なものであるが、甲状腺がんの正確な鑑別のためには細針吸引生検が必要となる。良性が大多数を占める本生検では、超音波検査段階でのAI活用により、不要な生検を回避できる可能性が指摘されてきた。
米国内分泌学会(ENDO 2022)で11日発表された、コロラド大学のチームによる研究報告では、甲状腺超音波画像から「甲状腺がんを除外し、不要な生検を回避」するための深層学習モデルを構築している。621の甲状腺結節から得られた3万枚以上の超音波画像を用いてモデルトレーニングを行い、他医療機関で収集された145の結節に基づく画像データセットでその性能が検証された。結果、感度97%および特異度61%を達成し、臨床的に許容される除外診断能力(がんの見落としが少ない)を示した。研究者らは、本分類器が「細針吸引による甲状腺生検と同等の感度を達成したこと」を強調している。
本モデルは、医師による甲状腺超音波画像のレビューを支援し、甲状腺結節に対して「さらなる検査に進むべきか」を高精度に判定できる可能性がある。ツールが標準的な臨床フローとして受け入れられるためには、前向き臨床試験によるエビデンスの蓄積が必要となるが、今回の有望な成果には業界からの期待も大きい。
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