医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究「抗菌薬への耐性獲得パターン」を抽出するAI研究

「抗菌薬への耐性獲得パターン」を抽出するAI研究

「細菌の抗菌薬への耐性」を示す尺度には、MIC(Minimum Inhibitory Concentration)という「細菌の増殖を抑制できる抗菌薬の最小濃度」が用いられている。多くの公開データベースには、あらかじめ設定されたMICの閾値と、そこから算出された耐性菌の頻度が集計されているが、データ活用が不十分との指摘がある。

スペインのマドリード・カルロス3世大学(UC3M)では、薬剤耐性に関する生データを含むデータベース「ATLAS」から、機械学習手法を用いて「細菌の耐性獲得パターン」を抽出する研究を行っている。ATLASは製薬大手ファイザー社が管理し、2018年から公開している。Nature Communicationsに掲載された研究成果は、UC3Mを中心とした研究グループにより、ATLASの70か国以上・60万人以上の患者における耐性データを解析したもの。その結果、多くの細菌と抗菌薬のペアにおいて、既存データベースよりも耐性頻度が高い状況を確認するとともに、集計データを使用した場合には検出できない耐性獲得パターンが存在することを発見した。

著者でUC3M数学科のPablo Catalán氏は「本研究で独自に検出できる例として、設定された耐性閾値を下回っているものの、MICが時間とともに一貫して上昇している病原体などが挙がる。そのような病原体については、既存の集計データでは耐性の頻度が一定に見えてしまうため、何も指摘できない。生のMICデータを用いることで、このようなケースを検出し、耐性菌出現を警戒できるようになる」と述べている

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

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防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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