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胎児の超音波スクリーニングを支援するAIモデル研究

嚢胞性ヒグローマ(cystic hygroma)は、胎児の頭部や後頸部に現れる嚢胞状病変で、ダウン症候群など先天性の染色体異常と強く関連している。現在は、妊娠12週前後の妊娠第1期から第2期に超音波検査でスクリーニングされているが、時として胎児の生命を脅かすケースもあるため、さらに信頼性の高いスクリーニング手法の開発が期待されている。

カナダ・オタワ大学では、嚢胞性ヒグローマの超音波診断を支援するAIモデル研究を進めており、その成果はオープンアクセスジャーナルのPLOS ONEに掲載された。オタワ病院で集められた約300件の胎児超音波検査の画像データセットからモデルは構築され、性能検証においては嚢胞性ヒグローマの識別精度として93%、感度92%、特異度94%、ROC曲線下面積0.94を達成している。

研究を主導しているオタワ大学医学部のMark Walker氏は「本研究では、比較的少ない数のトレーニングデータでも非常に優れたモデルを構築できた。将来的には、画像をクラウドにアップロードする国際コンソーシアム構想を持っており、中低所得国の医師がクラウドを活用した読影・診断を行えるようにしたい」と語っている

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