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バーチャルケアアプリが示す「ハイリスク妊娠への有効性」

トルコのアドナン・メンデレス大学の研究チームは、アプリを利用したバーチャルケアの提供が、「ハイリスク妊娠の管理において有効性を示すこと」をメタアナリシスによって明らかにした。研究論文は16日、Journal of Telemedicine and Telecareから公表された。

チームの研究論文では、2016年から2021年までに発表された12報(観察研究4報、無作為化比較試験8報)が参入基準を満たし、メタアナリシスの解析対象となっている。バーチャルケアアプリが「母体と新生児における健康アウトカムおよび医療コスト」にどのような影響を与えるかを評価したもので、全体として「アプリを通したテレヘルスアプローチが、状況を改善する」ことを明らかにしている。具体的には、アプリ利用群で空腹時インスリンや出産前ヘモグロビンA1c値が改善し、緊急帝王切開率が有意に低下していた。

著者らは「我々の研究成果は、先端技術がハイリスク妊娠の管理に有効に活用できることを示す証拠となる」とし、妊産婦支援のデジタルヘルスアプローチ拡充を訴えている。現代医療においては、妊娠全数の20%超が何らかの理由によって「ハイリスク」とみなされており、個別化医療によるアウトカム改善が強く求められてきた背景がある。

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