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スタンフォード大が展開する「AI研究向け大規模画像リポジトリ」

米スタンフォード大学のAIMI(Center for Artificial Intelligence in Medicine and Imaging)では、AI研究の積極推進のため「注釈付き医療画像データセット」を無償提供する大規模リポジトリを展開している。

スタンフォード大学が2日明らかにしたところによると、2年前に立ち上げられたAIMIではスタンフォード大学医療センターを中心として急速な画像収集を続け、現在100万を超える注釈付き画像を管理・提供しているという。研究者らはこれらを無償でダウンロードし、自由にAI研究に利用することができる。また、AIMIはMicrosoft AI for Healthとの協力で、よりアクセスしやすく自動化された新しいプラットフォームも立ち上げている。これにより、世界中の機関からの多数の追加画像を、効率的にホスト・整理することができるようになる。さらにここでは、研究者向けにクラウドコンピューティングも提供しており、機械学習インフラストラクチャの構築にあたって、ローカルリソースの大量消費を懸念する必要がなくなるという。

AIMIは画像分析だけではなく、AI医学研究のためのエコシステム構築を狙う。適切なデータセットを用いることで、単にピクセルデータの議論だけでなく、他の関連するマルチモーダルデータを含めて臨床的に有用な症例を横断的に探索できるようになる可能性もあるとする。センターでは9つのデータセットで100万を超える画像を有しているが、来年にはこの数は2倍になることを見込む。AIMIの副ディレクタであるMatthew Lungren氏は「医療データは公共財であり、世界中の研究者に開かれているべきという我々の考えを倍加していく」と述べる。

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