医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療系AIスタートアップ・ベンチャー企業の動向BrainScope社 - 頭部外傷での「CT検査の必要性」を低減するAIツール

BrainScope社 – 頭部外傷での「CT検査の必要性」を低減するAIツール

頭部外傷は、日常生活における転倒や交通事故、スポーツなど様々な状況で発生する。その際、CTスキャンを含む高度な画像検査を必要とするかの臨床判断は容易ではなく、過度に安全を期するとあらゆる症例でのCTスキャン施行から逃れられなくなる。米BrainScope社は、軽度外傷性脳損傷(mTBI: mild traumatic brain injury)患者の脳波から、脳震盪や脳出血の評価を行うAIツールを開発している。

同AIツールは、センサー付きのヘッドセットを患者に装着し、脳波データを記録・解析することで頭部外傷に伴うリスク評価を行うもの。機能別に、「脳出血のリスク評価(SIC: Structural Injury Classifier)」「脳震盪受傷時の脳機能評価(BFI: Brain Function Index)」「脳震盪受傷後の復帰判断指標(CI: Concussion Index)」などをラインナップする。

BrainScope社は、サプライチェーン管理および臨床改善サービスで業界最大手の米国企業「Vizient社」(過去記事参照)との技術提携をこのほど発表し、製品の導入拡大を計画している。BrainScopeの最高医学責任者であるDiku Mandavia氏は「顧客となる病院においては、BrainScopeのツール使用によってCTスキャンを30〜60%削減できることが実証されている。このことは、患者と救急部の双方に即時的な利益をもたらす」と語った。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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