感染症学および公衆衛生学的見地から考えた時、COVID-19のパンデミックが「人類が経験する最後のパンデミック」とはならない可能性が高い。パンデミックの発生を完全に防ぐことは容易ではないが、適切な準備によってその悪影響を「コントール」することはできるかもしれない。
英オックスフォード大学の研究者らは、パンデミックへの備えを向上させるためのツールとして、RapiD-AIと呼ばれる深層学習フレームワークを開発している。medRxivからプレプリント論文として公開されたチームの研究論文によると、RapiD_AIはプレパンデミック(2016年から2019年)の入院患者コホートデータ、およびパンデミック後の患者データなどを利用し、深層学習モデルの事前学習を行いながら、事後データによって微調整を加えることで、患者の増悪リスクやICU入室、呼吸器使用、死亡などの悪化予測タスクを高速かつ高精度に行おうとするもの。実験では、深層学習モデルの事前学習により、パンデミック初週から19週までの間に順次、劇的に予測パフォーマンスを向上させることに成功した。
著者らは「このアプローチが、新規感染症のパンデミックに伴う患者管理およびリソース最適化に有効となる可能性」を指摘しており、本研究知見を活用しつつ、既存データの収集とこれに基づく事前学習が来る危機への必要な準備となり得ることに言及する。
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