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「匂いや味への反応」から自閉スペクトラム症を識別

自閉スペクトラム症(ASD)には食行動の偏りが知られており、例えば特定の食事を避ける、特別な食事時間帯を要する、非社会的な食事行動を取る、などがある。米アーカンソー大学の研究グループは、機械学習手法によって、様々な食品の匂いや味に対する生体データと行動反応を分析し、ASDを検出する研究に取り組んでいる。

アーカンソー大学の公表によると、同プロジェクトはアーカンソー・バイオサイエンス研究所から3年間で15万ドルの助成を受け、2年目を迎えているもの。研究を主導するHan-Seok Seo准教授は、感覚科学・行動神経科学・生体情報・食行動学の専門家で、食事に関する知覚と行動からASD児と非ASD児を区別するスクリーニング手法を確立しようとしている。一例として、ペパーミントやレモン、クローブ(チョウジ)などの匂いは、ASD児に強い反応を引き起こすことが知られており、怒り・驚き・嫌悪のレベルを高める可能性があるという。チームでは特定の食品テストサンプルに対するユニークな知覚行動パターンから、ASD児をスクリーニングする機械学習アルゴリズムの開発を進めている。

Seo氏がASDの評価に感覚処理を用いる可能性に興味をもったきっかけのひとつは娘の誕生だった。同氏は目を合わせようとしない娘を心配したことから、ASD児の特徴を知ることとなった。実際のところ、彼の娘はASDの診断とはならなかったが、嗅覚や味覚に対する過敏性がASDにどのような役割を果たしているかに興味を持った。同じようにASDの可能性を心配する親の不安解消のためにも、当該アプローチが早期発見の可能性をもたらし、より低コストで現実的な手法を確立し得ると思い至ったという。開発中のシステムは、ASDの可能性が高い児にさらに包括的なスクリーニングプロセスを受けさせるための、プライマリスクリーニングの役割が期待されている。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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