米メイヨークリニックの研究チームは、「AIによる心房細動スクリーニング」の有効性を検証する前向き試験を実施し、その成果を公表した。研究論文は27日、The Lancetから公表された。
論文によると、研究参加者は全米40州から集められた1,003人で、脳血管疾患リスクを有するものの心房細動の診断を持たない集団となる。研究チームは「洞調律(異常を示さない平時の波形)から隠れた心房細動を指摘するAI技術」の開発に取り組んでおり(過去記事)、日常診療で実施された心電図波形から心房細動リスクを分類し、各リスク群で新たな心房細動発現がどの程度みられるかを検証した。結果、AIによる評価で低リスク群と判定された370例からは6例の心房細動検出、高リスク群からは633例中48例の検出と、有意な差が確認された。また、通常のケアフローとの比較においては、AIスクリーニングが有意にその検出率を改善していることも明らかにされた。
著者らは「既存の心電図を活用したAIによるスクリーニングアプローチは、心房細動検出率を高め、心房細動スクリーニングの有効性を向上させる可能性がある」とし、AIによるリスク分類と高リスク者に対する集中モニタリングの有効性を強調している。研究の次のステップは、多様な臨床環境と患者集団における「AIスクリーニングワークフロー」の導入効果に焦点を当てた多施設共同ハイブリッド試験となる。なお、根幹技術となる「正常洞調律の心電図波形から心房細動を検出するアルゴリズム」は、メイヨークリニックからAnumana社にライセンス供与されている。
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