米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やアルツハイマー病、パーキンソン病といった神経変性疾患における新しい病態パターンを特定するAIツールを開発した。研究成果は、Nature Computational Scienceに掲載されている。
神経変性疾患は一般的に複雑で多様な症状を伴い、進行速度も患者間で様々であることが知られる。MITの研究者で本研究論文の主執筆者であるDivya Ramamoorthy氏は「我々が取り組んだのは、特定の集団で共有される『ある種の一貫したパターン』が存在するかどうか、そしてどの程度までこれを機械学習で特定できるかということだ」と話す。研究チームは、ALSの臨床試験と観察研究から得られた5つの縦断的データを用いて機械学習モデルを構築し、これらの課題を解決することに成功したとする。モデルを用いた検証では、ALSにおいて1. シグモイド型高速進行、2. 安定型低速進行、3. 不安定型低速進行、4. 不安定型中速進行の4つの支配的な病態パターンを確認している。
これらの新しい病態パターンは強い非線形特性を示していたが、チームの機械学習モデルは、いわゆる「functional cliff」(急激に機能低下を来す点)を患者が経験する軌跡を正確に捉えることができた。この事実は今後、治療法開発や臨床試験の設計にも大きな影響を与えるとみられ、さらなる検証と他疾患への適用拡大が期待されている。
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