米オークランド大学などの研究チームは、AIと遺伝子バイオマーカーを活用した血液検査により、胎児の先天性心疾患を出生前に特定できる可能性を明らかにした。研究成果はAmerican Journal of Obstetrics and Gynecologyから公開されている。
米疾病予防管理センター(CDC)によると、米国では33人に1人の乳児が先天異常の影響を受けており、乳児死亡の主要原因の1つとなっている。また、障害を抱えて生き延びた児も、生涯に渡って認知的・身体的・社会的問題を抱えるリスクが高まるとされる。研究者らは「全ゲノムとAIベースの解析は、母親の血液サンプルに循環する胎児DNAから、心障害の兆候を正確に検出できる可能性がある」との仮説に基づき、ゲノムデータに複数のAIモデルを組み合わせ、先天性心疾患の発症に重要となる遺伝子経路の変化を特定しようとした。結果、最も性能の高いモデルでは、心血管系の発生過程や機能、先天性心疾患、心肥大、心血管系疾患に関連するエピジェネティックな変化や遺伝子経路の変化を高い精度で検出することができた。5種類の全ゲノムバイオマーカーを組み合わせたこのモデルは、感度98%、特異度94%、AUC 0.97を達成していた。
低侵襲な新しい先天性心疾患識別法は、高リスク児のスクリーニングと、出生後の効果的な介入計画策定に活用できる可能性を持つ。一方、「研究成果の検証には、さらに大規模な前向き研究が必要」である点にも著者らは言及する。
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