FDAのAI医療機器承認リストから見えること

米食品医薬品局(FDA)が公開するAI医療機器の承認済みリストに、先日新たに178のデバイスが加えられた件を報じた(過去記事)。2015年から2021年にかけての承認数は単調に増加してきたが、今年も現在のペースが維持されると昨年(115件)を上回ることが予想されている。

2022年は現在まで91のAI医療機器に承認が与えられているが、少なくとも1つの承認を獲得した企業は55社となる。一方、このリストを観察して興味深いと感じることは、AI医療機器が「AppleやAmazon、Googleといったビッグテック企業ではなく、GE(2022年内の承認数1位、15件)やSiemens(同2位、7件)といった19世紀創業の歴史あるメディカルテック企業から主として生まれていること」だ。なお、この後にAidoc(5件)を挟むものの、Canon(1937年創業)およびPhilips(1891年創業)が同率4位(4件)として続いている。

承認数だけで見ると、医療AIの支配的なプレイヤーは古参企業が中心となっている。ただし、利用可能なヘルスケアデータは日々拡大し、AIツールはシンプルかつ経済的、一般的となりつつあり、領域参入の間口は広がり続けている。来年以降、このリストがどのように変化していくのか関心が尽きない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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