パルスオキシメーターは指先などに装着して血中酸素飽和度を簡便に測定する小型医療機器で、COVID-19を契機として一般的にも広く知られるようになった。同機器では特に有色人種における測定誤差の懸念がある(過去記事)。本件に関して、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会も課題を明確化している。
米テキサス大学アーリントン校(UTA)の研究チームは、血中酸素飽和度測定の人種間格差を解消する新技術を、BMJ Innovationsに発表している。従来のパルスオキシメーターでは、皮膚組織へ深く浸透する「赤外光」の性質から、深部で拍動する動脈や、肌のメラニン色素による干渉が加わることで測定誤差が大きくなりやすい。本研究では、皮下2-3mmまでの浅い層に浸透する波長520-580nmの「緑色光」を用い、独自アルゴリズムによるメラニンの定量と補正を加えることで、肌の色が測定に与える影響を排除できたとする。
著者でUTAのGeorge Alexandrakis教授は「本研究における新技術は、時計型のようなウェアラブルデバイス向けの開発を狙いとしている」と述べるとともに、有色人種や低資源国の転帰にポジティブな影響を与えることを期待している。
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