免疫チェックポイント阻害剤は、現在のがん免疫療法で主流となった画期的な薬剤だが、治療が奏功する患者は一部に限られる。治療に対して良好に反応する患者をどのように予測するか。米ジョンズホプキンズ大学キンメルがんセンターの研究チームは、AI手法によって問題解決に近づこうとする。
Science Advancesに掲載された同研究では、DeepTCRと呼ばれる機械学習アルゴリズムを用い、T細胞受容体(TCR)を対象として、ニボルマブ単独またはイピリムマブ併用の免疫療法が奏功/不応答となる患者の遺伝子配列パターンを解析した。その結果、奏功患者は「腫瘍内のウイルス特異的T細胞」の数が多く、治療不応答の患者は「腫瘍特異的なT細胞」が多いことが示された。また不応答患者では免疫治療開始後にT細胞が高度にターンオーバーして蓄積することも明らかにしており、「不応答患者には抗腫瘍効果のないT細胞が治療前から多く存在している」と研究チームは仮説を立てている。
筆頭著者のJohn-William Sidhom博士は、博士課程の学生であった頃にDeepTCRの開発に携わった。Sidhom氏によると「DeepTCRアルゴリズムの中核はニューラルネットワークである。本論文では、モデルの予測の背後にある生物学的な説明を抽出することで、『説明可能なAI』として利用する方法を示した」と語った。
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