尿路感染症は、世界で年間1.5億人が罹患する最も一般的な感染症である。尿路感染症の初期症状は特に高齢者や認知症患者ではその認識が難しいこともあり、潜在的な感染兆候をどう捉えるかが課題となる。英エディンバラ大学と国立ロボタリウム(過去記事参照)を中心とした研究チームは、社会支援型AIとロボティクスによって患者の行動変化から尿路感染症を早期に発見する「FEATHERプロジェクト」を展開している。
本プロジェクトでは、自宅における日常生活の行動データを継続的に収集して行動・活動レベルの変化を分析することで、本人や介護者が異常に気付く前の感染兆候検出を目指す。行動変化には、歩行ペースや睡眠パターンの変化、排泄回数の増加、認知機能の変化などが想定されている。実際、高齢者のせん妄行動と尿路感染症には強い関連のあることが過去の先行研究で示されている。データ、AI、ロボットとの相互コミュニケーションによって、介護者だけでは拾い切れない感染兆候を検出できるよう、プラットフォームの設計が進められている。
英国政府のスコットランド担当大臣であるMalcolm Offord氏は「この研究は、尿路感染症の早期発見に大きな変革をもたらすが、スコットランドのケア部門が最初の恩恵を受けることになるのは喜ばしいことだ。英国政府は本プロジェクトに110万ポンドの研究資金を提供し、国立ロボタリウムには2100万ポンドを投資している」と述べた。
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